2012年12月26日水曜日

「女、妊、娠、鬼、性の万華鏡」(by市場)


この文章は、インタビュをして相手のみが喋った声を聞こえたまま文字起こした作品である。
内容についてもなんも注釈しないので自由に味わいなっせ。(市場)

日時:2011年暮れ
喋り人:妊娠中の田房永子
※田房永子 漫画家、ライター 1978年12月東京生まれ。「母がしんどい」絶賛発売中!!
HP:むだにびっくり (ここで紹介されておる「むだにびっくり」シリーズは素晴らしい作品です。とくに文章作品の1~3がええね。)
んだば、どんぞ

そうじゃなくて上がる人と下がる人がいて、上がる人はもうなんか大変なんですよ。私も上がるタイプだったから。もうなんか、すごいすよ。今ほんとなんか、獣つか、そういう。せっくすはできないんだけど、ぁの~、感度が1000倍ぐらいになってんすよ、なんか全身の。表面が。10000倍ぐらい?も、すごい。最初1000倍だったんすよ。つわりぐらいん時は1000倍だったのが3ヶ月ぐらい経つと、うちに10000倍ぐらい今10000倍ぐらいになって、もうほんと痛いんですよね、布団とか越しで触られてちょうどいいみたいな。ほんとなんだもん、だって。だから普通のせっくすできないですよね。ちょっともう無理。そんななんか、この、直で、舐められる、ありえない、なんか、そんなもう、感じて、いた痛過ぎるみたいな。とにかく、あと、膣も入んない入れられない?閉じてる?たぶん入れていいんだけど、でもなんかやっぱこう自分的になんか入れるもんじゃなくて出てくるものにやっぱ変わっちゃってって、なんか入れたいってあんま思わなくって、その反面まんじゅう部分の感度が1000倍ぐらいになってもう。まんじゅう部分おんなじ前は皮膚だったのに、そ、ここら辺の感度つか総動員。うっとりしちゃう感じ。まんじゅうに手を添えてるだけで、んあ、あれ?て感じ。私だけかなて思ったら、2chとかいっぱいみんな同じこと私と同じこと書いてる。

おばさんの身も蓋もない、のって、私その最近妊娠してから、なんかこう、赤ちゃんが可愛いとか、動くからぁ、入ってんだみたいな、赤ちゃん実際見ると、あ、これが入ってんだとか思うと、なんか涙出てきそうになったりとか、そういう母性的な部分とかも開花されたんだけど、その代わり、鬼部分がさらに開花されたんすよ。なんかあの、「引き換え」みたいな感じ。おなにーか赤ちゃんの命か、みたいな。なんか、それはー、おーがずむを感じると、子宮が収縮するていうのがあって、げんでゅうとかを促進しちゃって早産になっちゃうみたいな、ぴゅっとかあるんですよ。だから罪悪感が伴うんですよ、感度が1000ば・・・10000倍になってるから止めらんないすよなんか途中とかで、やめらんなくって、そういう時はもう、あ、やばいみたいな、怖いけど快楽を優先しちゃうから、大丈夫だろて思ってるのはあるけど、やっぱどっかでこれでなんか死んじゃってもしょうがない、て思ってるのその時、は。そこがすっご鬼なんすよ。でもだって今までそういうことって絶対ないじゃないですか?今まで生きてきて、自分の快楽を優先さしたから誰かが死ぬなんていうことはあ、そういう、なんちゅうの、意識ていうか、そういう心配すること自体がないじゃないすか。でも、やっぱ、それは決定的に男の人にはなくて女にはあると思うんすよね。でもやっぱ、自分の体の一部だって意識があるからあ、でもすんごい落ち込むんすよね、イった後とか・・・。心配しなくてもいいんだけど、やっぱなんか大丈夫かな、て思ってるときとかもお、もし、これでダメでも、「ま、しょうがなくね?」て半分ぐらい思ってんすよなんか、そう思わないと多分やってらないすよなんか、辛過ぎてなんか。ほんとでも、そういう、チョーかわいいチョー会いたいとか、大切とか、絶対無事で生まれて欲しいって思ってるのとおんなじ、おんなじぐらいでもないけど、確実にあるんすよ、そ、鬼部分は。それをほんとなんか、今まではその鬼系は感じたことなかったから自分なかで。だあ、もしかしたら、そうやって、赤ちゃん死んでもいいやって思う鬼的な気持ち、出てくるように、はにゃにすることになって、そのために感度が上がってんのかな体の。でも、たぶんそうしてないと、なんか、こう、予期せぬ、あの、事ってあるじゃないですか出産とかって、それに耐えられないって自分で予測しているから、そういう神様かなんかよく分かんないのがそういう風に・・・。そのために感度が上がってんのかな。わかんない。でもなんかそう考えるとすごい合理的なんすよね。自分で回ってるもん。
(おわり)

2012年12月4日火曜日

乱気流を裂く男

by よしだ

市場さんとの出会いの話はともかくとして、忙しい市場さんがこうして僕といろいろと遊んでくれたり連絡をくれたりするのは、お互いの共通項が高円寺であったのがやはり一番大きいのかもしれない。もちろん話をしてみて僕と共通の音楽仲間がいたり、プライドやK1等の格闘技が好きであるというのも大きいのだが、何よりも気軽に呼び出せる距離感と、余計な説明もなく「あそこでさ、あのあたりでね」と曖昧な意思表示で説明出来る利便性もあったのであろう。
いつものように「じゃあ、あそこで9時」と無駄のない伝言で呼び出された僕は、いつものように酔いの回ってきた市場さんと創作論についての終わりのない議論を始める。僕のような青二才の戯言を市場さんは黙って聞き届け、同調出来る部分は同調するが、納得出来ない理論やこちらの意図がよく理解出来ない時は徹底してその具体的な説明を求めてきたりする。特に「魂」という言葉に対しては敏感で、僕が「市場さんの絵には魂が籠ってますよね」というと「どこがだよ。本当にそう思ってんの?おい」とビールの入ったグラスを口に運ぶのを止め、僕の顔を凝視してくる。「思ってますよ。線一本一本から魂を感じますよ」と僕もコップをテーブルに置き、さも自信に溢れてるかのように示すべく市場さんと目を合わせる。「何言ってるんだよ、ただ書いてるだけだよ。ただ単に書いてるだけなんだよ!」と言うと市場さんはすかさず僕にラリアットを食らわせる。その衝動で椅子から吹っ飛び真横に積み上げてあったビールケースをなぎ倒しながら僕は油の滲み込んだ床を勢いよく転がって行く。即座に起き上がった僕は市場さんの膝へと低空ドロップキック。その場へ前のめりに転がった市場さんの上へその場飛びムーンサルトプレス。そしてフォール!カウント2で返す市場。起き上がり様、左ハイキックを吉田に叩き込み超高速ジャーマンスープレックスを決める市場。吉田返す。市場、吉田を肩に担ぐとそのままカナディアンバックブリーカーを極めながそのまま店外へと投げ飛ばす。窓ガラスを突き破り路上を派手に転がって行く吉田めがけ、市場は割れた窓ガラスを超えてトペスイシーダ!しかし吉田は膝で剣山ブロック! 苦痛で顔を歪める市場を横目に、吉田は鋭いバスソーキックを市場の左側頭部に叩き込むと路駐してあったワゴン車の上によじ登る。しかし市場は復活!そのまま車の上に立つ吉田まで駆け上り、吉田の肩を掴むとなんと雪崩式フランケンシュタイナー! 吉田首から真っ逆さまに落ちる。市場そのまま逆エビ固めで吉田をフォール。カウント3!決まった!

○市場大介 (3分45秒 車上からの雪崩式フランケンシュタイナー→逆エビ固め)●吉田恭淑