2012年11月24日土曜日

まえがき


『現場』とは、当事者しか共有しないヒミツの位相。

例えば、迷い猫との路上での戯れ。アグレッシブな胎動が表面化するライブ。甘い夜の桃狩り。

美人画家・市場大介とGovernment Alphaこと吉田恭淑との座談会第一回目の『現場』は、東京の片隅にある高架下の大衆居酒屋。約1年前のことだった。初めは同じ顔ぶれで不定期に集まっていたのだが、そのうち音楽なり絵なり何かを作っている友人知人を呼ぶようになった。違う分野だからこそ無邪気に聞けることもあるし、同じ分野だからこそ聞ける深い質問がある。何度か回を重ねてきた上で、我々の中にこの『現場』を位相を変え残像として存在させたいという思いが生じ、この度ブログを開設するに至った。

”全体的にすごく不器用だよね”
”あなたはノイズ向いてない”


ピーナツを無意識に口に放り込むのと同じ気軽さでもって、この痛快コンビはレディーに向かってこんな言葉を口から放り出す。内に籠もる創造性を長年その指先を通して横道に破廉恥に垂れ流してきたお二人はさすが観察眼も鋭くていらっしゃる。だが、当たっているかどうかも彼らにとっては実は実にどうでもいいのだ。残念ながら私こそ言われたとて自分以外に生きられないし、ノイズ機材弄りだって今でも継続して寝酒代わりだ。ではなぜ笑って許せてしまうのか。それは、一つは彼ら自身の心の壁の脆弱な粘膜のような一片もやにわに無造作に目の前の晒台に放り投げてしまうから・・・こちらが当惑するぐらいに。

肉眼で観察できるものだけが全てではないけれど、限りなく真実に肉薄する領域へ裸足に草履という軽装で足を踏み入れてしまうような、そういう現場へ、ようこそ。

今後ゲストを迎えた会話形式のブログを載せていき(不定期)、合間には個人が自由にアップしていく予定です。

歓喜に寄せて
『東京混沌通信(略称:とんこつ)』ナビ&文字起こし担当
Yuko Andy Freude